2016-12-29

そしてさよならした「べし」



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先日のブログの堀田季何さんは『フラワーズ・カンフー』の選句に影響を与えた数少ない一人。どういうことかというと、この本のあとがきには「第2回攝津賞から現在までの2年半分の作品をまとめた」と書いてあるのですが、実は一句だけ例外があって、それが週刊俳句の「10句競作」に出した

発語して光をにごす須臾となる  小津夜景

というもの。これ、俗にいうわたしの処女作なんですけれど、当時この句を堀田さんが褒めてくださったんですね。軽く。で、わたしはそのことをずっと覚えていて、この方が良しというのなら心配ないだろうと、句集を編むとき記念にこっそり入れたというわけ。さらに書くと、堀田さんが褒めてくださった別の句には

ヴァカンスやすべからく季節崩(く)ゆるべし  小津夜景

というのもあった。はい。べし、でございます。この句は「10句競作」の選者でさいきん『虎の夜食』を上梓した中村安伸さんにも採られたので、ふーん、こうゆうノリってありなんだね、と2度確認できた。ところが『フラワーズ・カンフー』の編集をはじめてみたらきのうの「べしをどうしても入集させる必要があることが判明してしまい、あっさり選外に。

ええと、とかくこの世はままならない、というおはなしでした。