2016-12-12

『スロー・リバー』と『ピンヒール・カンフー』


【おしらせ】この月曜から一週間、川柳スープレックスで川合大祐『スロー・リバー』を読むことになりました。深夜番組ゆえ毎回つぶやき程度のことしか言いませんが、よろしければ遊びにいらしてください。

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きのうのつづき。客観不在のモンタージュは嫌い、色気のない教本的格闘もつまらない、やはり映画なのだし多少はトリック込みの演劇的な掛け合いがないとね、ということでアクションの動作設計は武術と舞踊両方の造詣がある人だと嬉しい。各シークエンスを音楽のメロディーラインと捉え、その上で見せ場をデザインしてくれるとなお言うことなしである。

あとは身体という素材を活かしたリズム感と華。それには呼吸が重要だ。

呼吸といえば、ジャンルは異なるけれど、ヤニス・マーシャルの振付の呼吸は悪くないと思う。音楽だけでなく韻律にもキメの型をひょいひょい《乗せて》くる感じで、しかもそれがいちいちヴォーグ的。カンフーの振付もセンスの良い人がやると、必ずこんな風に技を《乗せて》くる。というか、よく考えてみるとこの人だって、あれだけ頻繁に凶器として使用されるピンヒール使いの達人なのだから紛うことなき立派なクンファーなのだ。



スパイス・ガールズの曲に振付をつけて踊ったヴィデオはパリジャンっぽくみえるが、実際はコート・ダジュールの田舎出身。センスとパワーに溢れているし、これが香港だったら『ピンヒール・カンフー』なる映画がすぐさま製作・公開されることだろう。