2019-07-16

白粉の香り




川柳スープレックス「喫茶江戸川柳 其ノ伍」のメニューが「化粧」だったので、江戸俳諧の「化粧」も手持ちの本の範囲で調べてみました。

みじか夜やまだ白粉の香は残り  一雫
白粉にこころののこる雪見かな  文尺

夏と冬の恋。川柳とは味わいがずいぶん違います。

うの花や窓をのぞけば化粧時  半綾

初夏の部屋をちょいと覗く男。卯の花が涼しげです。これが川柳ならば下五が「ももんぐわあ」になるわけですね。

化粧する鏡の中や軒の梅  許六

なんとモダンな構図! しかも中国の「梅花粧」を匂いづけに使うといった、さりげないおしゃれも欠かしません。

白粉のともしに照るや神楽みこ  牧童
夕風や夏越しの神子(みこ)の薄化粧  大江丸

巫女さんの化粧って素敵ですよね。特に牧童の句の非日常感は『柳多留』のこんな川柳をちょっと思い出させます。

灯籠も恋の部に入る別世界  二丁