2019-07-18

水を背にして句を作れ




『澤』7月号より半年間の句評連載をします。あと『むしめがね』22号に四ッ谷龍『田中裕明の思い出』の感想を書きました。

『むしめがね』の方は私の手元に数部あるので、読んでみたい方に謹呈します(送料無料。ABOUT THIS BLOGをクリックすると連絡先があります)。「吟行の手引き」という実用的な特集があっておすすめです。内容は、

1.吟行の人数/2.吟行の持ち時間/3.何句作るか/4.事前準備/5.自分の吟行地/6.吟行相手の選び方/7.水を背にして句を作れ/8.景勝地や観光名所での吟行/9.固有名詞/10.吟行と選句/11.吟行をしない人/12.おわりに

で、例えば1については一人、二人、数人、十人以上と細かく分けてそれぞれの注意点を述べています。

一人吟行で気をつけるべきことは、川沿いとか街道沿いにひたすら歩き続けるというようなコース取りをしないということである(一人吟行に限らないが、とくに一人の場合はこうなりやすいので注意が必要だ)。こういう歩きかただと、同じような風景を見続けることになって取材が単調になるし、歩くこと自体が目的になってきて吟行に来ているのかウォーキングに来ているのかわからない状態になるからである。たとえば川沿いに歩く場合は、直線的に歩くのではなく、川を逸れて近くの寺社を訪問するほうに時間をかけるというように、寄り道に力点をおいて、大きくジグザグに歩くとよいだろう。(1「吟行の人数」より)

わかる。川沿いや街道沿いって歩くの楽しすぎるんですよね。また1に関連する話が7の「水を背にして句を作れ」で、これは岸本尚毅さんが波多野爽波から言われたことなのだそうです。たとえ水辺で吟行するにしても、水とは反対側の景色をじっくり観察することが、その土地の空気を大きくつかむことにつながるということ。ふうむ。