月末にル・アーヴルに行くので前倒しで仕事をこなしている。コート・ダジュールの外に出るのは半年ぶり。今秋はインドに行くはずだったのだけどコロナのせいで来春に再調整となった。あとはジャワ島に太極拳の大師匠が住んでいるので「今度の研修はジャワ島でやろう」と言われてはいるが、こちらもいつになるかわからない。なぜジャワ島に大師匠が住んでいるのかというと、うちの師匠は若かりし放浪時代、インドネシアの路上で病に倒れたところを見ず知らずの華僑に介抱されたことがあり、その華僑というのが大師匠なのである。そのまま自宅に運ばれて厄介になっていた折、大師匠が早朝こっそり自宅の中庭で太極拳やら棒術やらの練習をしているのを見て「これだ!」と思い、それまで習っていた合気道を捨てて大師匠に弟子入りすることにしたとか。カンフー映画みたい。必ずといっていいくらいあるよね、そういうシーンが。
「大師匠の朝練って、やっぱり人目を忍んでしてたってこと?」
「いやちがう。ジャワ島は暑いから昼間は練習なんで絶対できないんだよ。僕たちも研修に行ったら朝の5時からやんないといけないよ」
「え〜」
「だいじょうぶ。午後は昼寝するんだから」
写真を見ると、大師匠は映画『青いパパイヤの香り』を連想させる素敵な家にお住まいだ。早く遊びに行ってうっとりしたい。