『
現代詩手帖』10月号(9月28日発売)に自由詩「ロゴスと巻き貝」を寄稿しました。
この号は「定型と/の自由―短詩型の現在」という特集で、当初わたしは連句から発想した実験的作品を書くつもりでいました。ところが編集部から
「今回の作品依頼は、定型の使い手に自由詩を書かせたら一体どのようなものができるのかといった実験です」
との趣旨を聞いてはっとし、そういうことだったらむしろ定型の技を一切捨てて、生まれたばかりの赤ん坊になったきもちで自由詩を書こう、と思い直しました。
というのもよくよく考えてみたらですね、俳句のフィールドに詩を引き込んだり、定型の技でもって自分の弱点をかばったりしてしまったら、作品が自分にとって既知の展開にしかならないんですよ。でもせっかく知らない流派の道場に招待されたのに自分の殻から出ようとしなんて、未知のルールの中に飛び込もうとしないなんて、そんなつまらないことあるでしょうか。
で、ここは相手の道場に身ひとつで上がって真正面から現代詩に挑もう、と。
そんなわけで、定型のなんたるかを紀昌のごとく忘れ去った、まっぱだかの自由詩ができました。
ちなみにわたしは現代詩をほとんど読んだことがなく、『現代詩手帖』という雑誌も30年前に手にしたっきり。つまりは知識不足ゆえ、作品もあっと驚愕するような事態になっているかもしれません。