2021-10-01

ハイクノミカタ連載終了





この一年間担当していたハイクノミカタの連載が終わりました。原稿というのは書いているときは何も思いつかず、出してから「あれを書いたらよかった」と着想が浮かぶもので、そのひとつに4月28日の記事に引いた、

ああ皐月仏蘭西の野は火の色す君も雛罌粟(こくりこ)われも雛罌粟/与謝野晶子

という歌の感想があります。これについてわたしは「愛と情熱を賛美的に描くのみならず、項羽と虞姫に自分たちを重ねていたのではないか」と書きまして、その想像自体は変わらないのですけれど、あのあと古今集に、

春日野はけふはな焼きそ若草のつまもこもれりわれもこもれり/よみ人しらず

という歌があるのに気づき、晶子はここから下の句の音像を採ったに違いないと思ったんですよね。ついでに言えば「野」「火」「男女の恋」「地名入り」「植物入り」といった点も作りが一緒。まあこういったことがいろいろありつつも、とりあえず終わった次第です。