2016-10-24

どろだんご俳句への道、そして休暇小屋。





手仕事のぬくもりとユーモアの感じられるル・コルビュジエの仕事は《どろだんご俳句》を考える上できわめて参考になるアーキテクチャー感覚です。

この《どろだんご俳句》というのは、可塑性を内包した状態をもって一句を完成とみなすコンセプトのことで、精巧な磁器のごとき俳句の対極を意味します。他にもっと良いネーミングを思いつかないでもないのですが、どことなく音感が可愛いのでこの言い方を手放せないでいるのでした。

ところで上の写真。奥にちらっと写っているのはカップ・マルタンにあるル・コルビュジエが夏を過ごした休暇小屋です(もっとよく見たい方はこちら)。よく雑誌などでは、この8畳の家をコルビュジエの辿りついた方丈の境地として賞賛していますが、彼はここに住んでいたことはなく、あくまでも夜を涼しく過ごすためのバンガローとして使用していました(昼間こんなところにいたら暑くて死ぬ)。あとこの休暇小屋は「最小限住宅というテーマを突きつめた傑作」なんて言い方もされますが、コルビュジエ本人にはいささか最小限すぎたようで、下の写真のような4畳強の仕事部屋を隣に建てたりしている。正味の話、コルビュジエのアーキテクチャー感覚の妙というのは全然ストイックじゃない(臨機応変でブリコラージュ性が高い)ところですね。どろだんご。

平日に他人の家で寝てしまう  竹井紫乙