2016-10-13

黴の匂いの雨





ポワチエは5世紀建立のサン・ジャン礼拝堂(西欧最古のキリスト教建築のひとつ)をはじめとして、さまざまな建築が見られる古都。大学都市としての歴史も古く、15世紀末にはすでに年間4000人を超える学生がこの町の大学に通っていた。

中世ロマネスク様式のノートルダム・ラ・グランド教会。差し込む陽がそっと訪問者をいたわる、やわらかく鄙びた空間。

黴の匂いの雨が降っている。さーさーと映写機の回るような音を立てて。それでわたしは目の前にひろがる光景を、たまさか《ここに映し出された過去》として、然るべく眺めることができた。