2016-10-10

空気と図学と、ゼリービーンズ。





1970年大阪万博。それは空気ラヴァーズにとって、うきうきする建築がひしめく夢心地のイヴェントである。なかでも村田豊設計の富士グループ・パビリオン(写真一番奥)は、カラーリングとシンプルな大胆さとがとても晴れやかな空気膜建築だ。

太陽工業の回顧録によると、なんでも当時の建築業界にはまだコンピューターが導入されておらず、村田のつくった模型の複雑な曲線を設計図面に落とすことが誰にもできなかった。それをカーデザイナー出身の沖種郎が「“数学”的な計算ではなく、車のデザインでやってきた図学から入ればできる」と直観し、不眠不休の末やりとげたそうである。よくわからないけどすごいエピソードだなあ。図学よ、ありがとう。

で、ここからが本題。わたしはこのパビリオンの建築形式であるエアビーム(AirBeam)構造というのをエアビーン(AirBean)構造だと勝手に思いこみ、砂糖菓子のゼリービーンズを連想させるからそう呼ばれるのだとずっと信じきっていた。それでなんの不都合も今まで生じなかったのだからふしぎなものだ。そんなわけで、わたしの脳内にだけ存在しているらしいエアビーン構造による建造物の、理想的なサンプルを下に貼っておきます。