2018-11-28

勝機はどこにあるか





ひさしぶりの「はがきハイク」が届く。
 
アリスったらまた伸びるのね冬館  笠井亞子
まつさらな銀河の縁の掛布団  西原天気

亞子さんはあいかわらずのおてんば。ちょっと川柳っぽい雰囲気を感じます。天気さんにはアンメルツヨコヨコという音から星雲を召喚した〈アンメルツヨコヨコ銀河から微風〉という名句がありますが、この度の「銀河」は愛の香りがうっすらと漂う点で、これを軽く上回るスペイシー度数です。
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閑話休題。宮本武蔵のファンがいるようなので、ところどころ俳句と重ねつつ、もう少し書きます。

方法とか流派とかいったものは、その大枠の現象だけを眺めればどれも問題が多く、前衛でも、伝統でも、なんでも、それぞれにありがちな固有の弱点を抱えているものです。

にもかかわらず、どの方法論の中からも時々はっとするような作品が出現することを思うとき、作品の良し悪しを方法(流派)に遡行して語ることは実は不適切なのだということに気づきます。

どの方法(流派)も、その勝機は使い手のひらめきの中にあるのです。

だから方法(流派)を吟味するときは、その中で書かれたつまらない作品ではなくすばらしい作品を眺めること。批評であれば、或るすばらしい作品が、同じ方法(流派)の別の作品とどのように違うのかを考えること。また書き手であれば、方法(流派)と自分の性格とのフィット感を手さぐりすること。

そうすると、楽しく創造的な時間が過ごせます。いつだって、学びつつも一つの学びに染まらない精神は、作品を類ではなく個で眺める習慣から生まれるのです。