2019-11-16

駒と巡りあう夜




先日、冬服に着替えた泰山木の実をアップしましたが、つい3週間前まではこんな色の服でした。あ、いえ、別にこれ以上言うことはないんですよ。めっちゃかわいいなってだけ。

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戦前の日系紙でめぐる都々逸のつづき。今日は「日米新聞」です。この新聞は「北米日報」と「桑港日本新聞」とが合流して1899年に誕生しました。のちに「新世界」とともにサンフランシスコの邦字新聞の双璧をなしたそうです。

葉蔭ながらも横降る雨に濡れて色づくストロベリ

ギヤスで料理のお雑煮よりも柴で焚くのが俺(わし)や嬉し

生活の作品より。英単語がかっこいい。〈ギヤス〉は瓦斯のこと。〈ストロベリ〉は日系移民史と切り離せない単語ですよね。

会いに来たのか厩の駒を除隊した夜の夢に見る

(つつ)で霞ませ血潮で咲かす春の戦場のみぢめさよ

木の葉残らず散らしてあとは何を散らそと鐘をつく

戦争の作品より。〈厩の駒〉はすごい。なんというか、心の闇の深みをさまよっていたら、ふいに発光する湖を見つけたような、そんな静謐な慰めを感じます。この都々逸と出会えて本当に良かった。