2019-11-29

蜃気楼と月




須藤岳史さんとの往復書簡「LETTERS」更新。第14回は「文(ふみ)と不死」。繋がることとその痕跡。ニースに引っ越した日のこと。惜字楼でお別れしたあなたの分身。追伸と明るい雨。手紙とごみ。竹取物語の秘密。そして蜃気楼。上はこちら、下はこちらからどうぞ。

上の写真、海の向こうに見える陸地と建物はどちらも蜃気楼です。蜃気楼は時間帯によってリアルさが変わるので、もう少し眺めていたかったのですが、あまりにも寒くて10分ほどで退散しました。で、帰ってから蜃気楼の漢詩を読み比べ、李白「渡荊門送別」が私の見た風景にぴったりだなと思ったので引用します。

月下飛天鏡 月は下りて天鏡(てんきょう)飛び
雲生結海楼 雲は生じて海楼(かいろう)を結ぶ

意味は「月は傾き、天を鏡が飛んでいるみたい。雲は湧き、海に楼が建っているみたい」。ちなみにこの日の月はこんな感じ。空気がピュアで、とても痛そうだった。