土曜日の読書「町中に風呂が」更新。引用はドミニック・ラティ『お風呂の歴史』より。高遠弘美氏の訳が読みやすかったです。変な喩えですけど、天気の良い日の野鳥観察みたいに文章の見晴らしがよくて、日本語がくっきりしてる。思わずアマゾンに他の訳書を探しに行ったら、なんとプルースト『失われた時を求めて』を翻訳中ではないですか。読んでみたいかも。
『お風呂の歴史』については、本文に引用したのと同じあたりに、当時のおすすめ入浴法のこんな記述もあって、どこの住人もお風呂好きのやっていることは同じだなと思います。
十三世紀の医師アルノー・ド・ヴィルヌーヴは、若さを保つために、四月と五月には、週に三回入浴することを勧めている。湯は透明でぬるめ。そこに、植物(ローズマリーや接骨木やカモミールや品川萩)や花(赤い薔薇や睡蓮)や各種の根を煎じたものを入れ、一週間で新しくする。浸身浴は空腹時がよく、最低一時間は続ける。終わったら煎じ茶を飲み、休む。