2020-09-10

石田幹之助『長安の春』(たわいのないこと1 )




南太平洋の島に住んでいる友人から、野生のスパイダーハイビスカスの写真が届く。フリルになった花びらの可憐さ!ものすごくかわいい。この島の家々はハイビスカスで垣根を作り、花からはジャムを作るそうです。素敵な生活だなあ。

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『漢詩の手帖 いつかたこぶねになる日』のご予約クラウドファンディング、開始2日目にして達成率40%を超えました。ご注文くださいました皆様ありがとうございます。予約受付はあと43日です。引き続きどうぞよろしくおねがいいたします。

ところで、杜甫、李白、王維、白居易といった漢詩を代表する詩人たちが活躍した唐代の都・長安はいったいどんなところだったのか?というと、これが実はいまの日本人が想像するような中国とはちょっと違ったらしいです。当時の長安は人種のるつぼたる世界最大の国際都市で、なかでも西域(イラン)文化が大流行、宗教・建築・工芸・芸能にとどまらず日常の衣食にまで深く浸透していたそうで、要するにエキゾチックな、とてもおしゃれな空間でした。

そんな都のようすを学問的に見事に掘り起こしたのが石田幹之助『長安の春』で、ことに巻頭随筆「長安の春」は名文の誉れが高い。わたしなどは名文ときくとすぐに怖気づいてしまう性格なのですが、石田幹之助の文章は少しも禁欲的でなく、本当に長安を見てきたかのように描写が克明で(妄想がばんばん出てきます)、しかもああっ!とのけぞる饒舌ぶり、完全に講談エンタメ系のそれです。この人は芥川龍之介の友人でもあるので、二人が文体を磨きあっていた一高時代の光景を胸に描きながら読むと、気持ちに余裕が生まれて面白さが二倍になります。

……と、こんな話を唐突にするのは、拙著のご予約キャンペーン中は、漢詩にまつわる他愛のない話を少し書いてみようかなと思ったから。明日以降も(書けそうであれば)続きます。