2016-11-15

ラグビーと俳句



週刊俳句誌上で「みみず・ぶっくすBOOKS」という記事を不定期で書いています。記事の内容は主にフランス語の句集の紹介で、原則として「その辺で安く手に入れた、かわいい本」に焦点を絞っています。稀少本は避ける。値段は千円以下(古本含む)。そして写真うつりが良いこと。お金もなく語学も不得意だけれど、暮らしの中で自分なりに俳句の本を楽しんでみたよ、といったスタンスです。

今のところ反稀少&低価格の原則は守られている一方、写真うつりについてはたまに崩れてしまうことがあります。妙な主題のものを見つけたときとか。もっともそういった本は記事にしません(見ていて退屈だから)。下のジャン=ルイ・シャルトラン『青い芝の上で』もそんな一冊。


副題に「ラグビー俳句」とあるとおり、ラグビーの風景および心得を元選手である著者が102の俳句にした本です。残念ながら紹介したくなるような句はなかったものの、高揚する精神を詩に昇華させたくなったとき、その詩型に選ばれる程度にはポピュラーなんだなあ俳句は、と改めて思いました。

ところで日本の俳句でラグビーというと、あのじわじわくる

帰るラガー鱏(えひ)水槽のなかに死ぬ    赤尾兜子

なんてのは相当特殊で、基本的にはその端正なイメージを青春性あるいは宗教(静謐)性と無理なくかけあわせたものが多い気がします。

ラグビーの頰傷ほてる海見ては    寺山修司
ラガー等のそのかちうたのみじかけれ   横山白虹
枯芝にいのるがごとく球据ゆる        〃
イエスゐるやうにラグビーボール置く   齋藤朝比古

こうして並べると兜子の句もひっくるめて、ラグビーを詠んだ俳句にはわかりやすい品がありますね。今度の週末、えりまきを巻いてラグビーを観にゆきたくなるくらいに。