2017-09-13

木彫りを追って






本日のスピカ「かたちと暮らす」は木彫りの熊の話。それで思い出したのは、昔、同居人と結婚したときに、知床半島から網走へと抜ける新婚旅行に出かけたこと。

わたしは北海道生まれで、子供時代は引越しでいろんな土地を見たのですが、ニブフ(ギリヤーク)やウィルタについては書かれたものしか知らなかったんです。それで良い機会だからということで、オホーツクの旅に出たのです。

アイヌ文化を見慣れた者にとって、ニブフの木彫りはキュートで少しさみしい。セワポロロのような観光用の木彫りにも異文化を感じます。当時はダーヒンニェニ・ゲンダーヌ氏が始めたウィルタ文化資料館「ジャッカ・ドフニ」もまだ開いていて、わたしたち夫婦はとりあえず網走刑務所を押さえたのち、北方民族関係の施設をいくつか回ったのでした。

余談。わたし、梅棹忠夫の書くものって好きじゃないんですが、1993年の国際先住民年のとき、アイヌ文化の企画を北海道以外の博物館でやってのけたのが彼のいた民博だけだったことは、本当に偉いなと思います。当時はまだ旧土人保護法が存在したから、なおさら。

シロカニペ待ちかね宝船にのる  小津夜景