2019-03-16

あなたまかせ読書術



今週の「土曜日の読書」はイザベラ・バード『日本奥地紀行』から自分というものの最果てについて書きました。

14、5の頃にもらった本はあれ以外にも色々あって、唯物論から神秘主義まで硬柔・左右と幅広かったです。なかでも強烈だったのが担任からプレゼントされたコバルト文庫(タイトル失念)。主人公の女の子が7人の青年と同時に付き合っちゃうという頭に毒の回ったストーリーでした。なにゆえあんなものをくれたのか。あと化学の先生が中村天風をいきなり10冊も持ってきて、いや、それはさすがに違うだろうと困ったこともありました。

ところでウラハイに原稿を出してから気づいたのですが、今回の文章はさいきん須藤岳史さんがアパルトマンに寄せた読書をめぐる断想と対照的な内容のようです。

ふと気になって、日向ぼっこをしながら今までに読んだ本の冊数をざっと勘定してみた。
5〜25歳までは1日平均2冊として14400冊、25〜35歳までは1日平均1冊として3600冊、過去5年は2日で1冊平均として900冊。合わせてもわずか18900冊、仕事や勉強のために部分読みをした本を合わせてみても2万冊を超える程度だろう。(…)

自分が見つけた(と少なくても思い込んでいる)ものにしか、人は強い関心を抱かない。
だから若くてエネルギーも時間もある頃は「人の選んだ全集なんか死んでも読むもんか!」と思うかもしれないし、それは自分もそうだったのでよくわかる。しかし、賢い人はいいとこ取りをする。

この引用の後半。自分というものがぼんやりとして、あなたまかせの読書をしてきた身にはすごく新鮮です。そしてまた、私にとって最も幸福な読書とは「好きな人が読んできた本を、教えてもらって自分も読む」ことだな、と改めて思いました。