2019-03-31

春、君がために開く。



大西巨人の本で、ひさしぶりに亀井少琴の詩を読む。少琴は原采蘋と同じ年。父親同士(亀井昭陽・原古処)が親友だったせいで、二人は幼馴染として育っています。

扶桑第一梅 扶桑 第一の梅
今夜為君開 今夜 君がために開く
欲識花真意 花の真意を識(し)らんと欲せば
三更踏月来 三更 月を踏んで来たれ

少琴16歳にして、のちの夫となる三苫源吾(雷首)に送った誘いの詩。すごいなあ。扶桑は日本のこと。三更は午後11時または午前0時からの2時間。この詩、杜甫「客至」の前半4句を連想させます。

舎南舎北皆春水
但見群鷗日日来
花径不曽縁客掃
蓬門今始為君開

南も北も 家のまわりは
春の湧き水でいっぱいだ
眺めれば かもめたちが 
日々その水にやってくる
これまで 花の小道を  
客のために掃いたことはなく
いまはじめて 粗末な門を   
あなたのためにひらいている