毎日、外に出るたび、空と海のとても青いことに驚いてしまう。
で、驚きつつ「そういえば、わたしは青い空と海が大好きだったんだ。きのう思い出したばかりだったのに、どうしてまた忘れていたんだろう? そうだ、今度誰かに『お好きなものは何ですか?』と訊かれたら『青い空と海です』と答えよう。よし。これ、すごく大事なことだから、ぜったい忘れないようにしなきゃ…」と毎日心に誓う(そして毎日忘れる)。
毎日、同じ輝きでもってわたしを出迎え、そのすばらしさを思い出させてくれる景色が、扉の外に広がっている。
それと出会い、それを思い出し、そして忘れ、またそれに出会う日まで、ずっと忘れている。
もうそれを思い出すことなどないかもしれないと思いながら、ずっとそれを忘れたままでいる。
それが何であるかを少しも知らないまま。