2016-08-12

これがSFの花道だ



川合大祐『スロー・リバー』が肌に合いすぎて困っている。この系統のものとしては関悦史の〈小惑星ぶつからば地球花火かな〉を読んで以来の衝撃だ。もっとも関悦史とちがって『スロー・リバー』は一冊まるまる頭がおかしい。しかもいわゆる出来の良い句が良いのは当然として、ひどい句がもうたまらなく良いのである。と、こう書くと『スロー・リバー』はわたしにとって傑作であるということになってしまうが、実際どうもそのようだ。あっ。なんということだろう。

その川合さんだが、当ブログ開設のとき「フラワーズ・カンフーというタイトルは、もしかしてチャイニーズ・カンフーが元ネタですか?」と訊いてきた。さすがは「川柳スープレックス」で飯島章友と共に格闘技枠を担当している(今わたしが勝手に決めた)だけのことはある。春に飯島さんにお会いしたときは、思わずその場に五体投地してこの人の弟子になろうかと思ったほどすごい(が、当然ここには書けない)武術界の脇街道のお話を拝聴したが、川合さんもこの手の話が大好きなようす。しかしわたしはジャンボ鶴田にはさほど興味がない。ごめんね。

それにしても良いタイトルだなあ。ご本人にぴったり(会ったことないけど)。そして「チャイニーズ・カンフー」は『スロー・リバー』のBGMにぴったりだ。休日の朝の、ささやかな幸福。

さらっと正気なことを書けば、川合大祐にとってのSFとは、他には何ももたず、ただ己の想像力だけを武器にして孤独を生き抜いた時代に固く握りしめていた、今も手に残る銃弾のようなものであるにちがいない、と思う。

そしてまた必然性のない尼だ  川合大祐