2016-09-10

あやとりを手放すとき



折り紙の世界はとても奥深いらしい。そういうのは傍から覗くだけでもわくわくするので、プロの作品集を開いてみた。ところがほんの数ページで「あ。これは違う」と感じた。折り紙というのは、どれもこれも形がよく出来すぎている。そして作った〈もの〉がそこに残る。

あやとりを手放すときのつむじ風  兵頭全郎

あやとりは、どんな形も謎めいている。それはやわらかな幾何学さながら次々とその形を変え、またそっとテーブルにおいたときは古代人のらくがきにもみえる。まるでわたしたちの想像力を試しているかのような。そう、要するに「イメージする力」がこのあそびの本質なのだ。だがそれにもまして極上なのは、あやとりでは作った〈もの〉を必ず壊してしまうこと。この途方もなく純粋な無所有性。

あやとりの快楽というのは、そのイメージの透明度と、物質的な達成感のなさにあるのかもしれない。

今日ぐうぜん見つけた国際あやとり協会のサイトにある「世界のあやとり」が興味ぶかい。少しだけ画像を借りてきた。いちばん上のイラストはイヌイットの「美しい虹」という形。下は三種類の「星」。文化人類学というのも不思議な学問ですね。

フィジー「星」
パプア・ニューギニア「天の川」
ナバホ「大きな星」